1984年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第81回ワールドシリーズ(だい81かいワールドシリーズ、81st World Series)は、10月9日から14日にかけて計5試合が開催された。その結果、デトロイト・タイガース(アメリカンリーグ)がサンディエゴ・パドレス(ナショナルリーグ)を4勝1敗で下し、16年ぶり4回目の優勝を果たした。
両球団のオーナーがともにファーストフード店経営で財を成したことから、今シリーズは "ファーストフード・シリーズ"(Fast-Food Series)とも呼ばれる[注 1][3]。タイガース監督のスパーキー・アンダーソンとパドレス監督のディック・ウィリアムズは、それぞれ別球団の監督として1972年のワールドシリーズでも対戦しており、シリーズでの顔合わせは12年ぶりだった[注 2][4]。アンダーソンは今シリーズの優勝により、アメリカンリーグとナショナルリーグの両方の球団でシリーズ優勝を達成した史上初の監督となった[注 3][5]。シリーズMVPには、第4戦で2本塁打を放ちチームの全得点を稼ぐなど、5試合で打率.450・2本塁打・6打点・OPS 1.300という成績を残したタイガースのアラン・トランメルが選出された。トランメルはパドレスの本拠地から3マイル(約4.8km)ほどの近場で幼少期を過ごし、自身が11歳のときにパドレスが創設されて以来のファンだったが、今シリーズではそのパドレスの初出場初優勝を阻んだ[6]。
ワールドシリーズでは1976年から指名打者(DH)制度が導入され、1985年までの10年間は、偶数年は全試合で採用、奇数年は全試合で不採用とされていた。1986年からは規則が変更され、年度にかかわらずアメリカンリーグ球団の本拠地では採用、ナショナルリーグ球団の本拠地では不採用となった[7]。全試合DHありのワールドシリーズは、このあと2020年まで途絶える。
試合結果
1984年のワールドシリーズは10月9日に開幕し、途中に移動日を挟んで6日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月09日(火) | 第1戦 | デトロイト・タイガース | 3-2 | サンディエゴ・パドレス | ジャック・マーフィー・ スタジアム | |
10月10日(水) | 第2戦 | デトロイト・タイガース | 3-5 | サンディエゴ・パドレス |
10月11日(木) | | 移動日 | |
10月12日(金) | 第3戦 | サンディエゴ・パドレス | 2-5 | デトロイト・タイガース | タイガー・スタジアム |
10月13日(土) | 第4戦 | サンディエゴ・パドレス | 2-4 | デトロイト・タイガース |
10月14日(日) | 第5戦 | サンディエゴ・パドレス | 4-8 | デトロイト・タイガース |
優勝:デトロイト・タイガース(4勝1敗 / 16年ぶり4度目) |
第1戦 10月9日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回表、アラン・トランメルの二塁打でタイガースが1点を先制(43秒) |
5回表、ラリー・ハーンドンの2点本塁打でタイガースが逆転(53秒) |
7回裏、カート・ベバックワが右翼線を破る当たりで三塁を狙うも、タイガースが中継プレイで阻止(58秒) |
次打者アラン・ウィギンスはセーフティバントを狙うが、タイガース先発投手ジャック・モリスが自ら処理してアウトに(26秒) |
9回裏、モリスがこの日9個目の三振をボビー・ブラウンから奪う(23秒) |
モリスは最後の打者ギャリー・テンプルトンも一ゴロに打ち取り、完投勝利を挙げる(43秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
デトロイト・タイガース | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 8 | 0 |
サンディエゴ・パドレス | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 8 | 1 |
- 勝利:ジャック・モリス(1勝)
- 敗戦:マーク・サーモンド(1敗)
- 本塁打
DET:ラリー・ハーンドン1号2ラン
- 審判
[球審]ダグ・ハーヴェイ(NL)
[塁審]一塁: ラリー・バーネット(AL)、二塁: ブルース・フローミング(NL)、三塁: リッチ・ガルシア(AL)
[外審]左翼: ポール・ランギー(NL)、右翼: マイク・ライリー(AL) - 夜間試合 試合時間: 3時間18分 観客: 5万7908人
詳細: Baseball-Reference.com
第2戦 10月10日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
5回裏、カート・ベバックワの3点本塁打でパドレスが逆転(47秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
デトロイト・タイガース | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 7 | 3 |
サンディエゴ・パドレス | 1 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | X | 5 | 11 | 0 |
- 勝利:アンディ・ホーキンス(1勝)
- セーブ:クレイグ・レファーツ(1S)
- 敗戦:ダン・ペトリー(1敗)
- 本塁打
SD:カート・ベバックワ1号3ラン - 審判
[球審]ラリー・バーネット(AL)
[塁審]一塁: ブルース・フローミング(NL)、二塁: リッチ・ガルシア(AL)、三塁: ポール・ランギー(NL)
[外審]左翼: マイク・ライリー(AL)、右翼: ダグ・ハーヴェイ(NL) - 夜間試合 試合時間: 2時間44分 観客: 5万7911人
詳細: Baseball-Reference.com
第3戦 10月12日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
試合開始前、タイガースのジャック・モリスとアラン・トランメルが紹介され地元ファンの大歓声を受ける(19秒) |
2回裏、マーティー・カスティーヨの2点本塁打でタイガースが先制(48秒) |
2回裏、トランメルの二塁打でタイガースが3点目を奪う(1分2秒) |
9回表、ウィリー・ヘルナンデスがスティーブ・ガービーを中飛に仕留め試合終了、タイガースが2勝目(32秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 10 | 0 |
デトロイト・タイガース | 0 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 5 | 7 | 0 |
- 勝利:ミルト・ウィルコックス(1勝)
- セーブ:ウィリー・ヘルナンデス(1S)
- 敗戦:ティム・ローラー(1敗)
- 本塁打
DET:マーティー・カスティーヨ1号2ラン - 審判
[球審]ブルース・フローミング(NL)
[塁審]一塁: リッチ・ガルシア(AL)、二塁: ポール・ランギー(NL)、三塁: マイク・ライリー(AL)
[外審]左翼: ダグ・ハーヴェイ(NL)、右翼: ラリー・バーネット(AL) - 夜間試合 試合時間: 3時間11分 観客: 5万1970人
詳細: Baseball-Reference.com
第4戦 10月13日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
アラン・トランメルが2本塁打でタイガースの全4得点を叩き出す(1分8秒) |
9回表、ジャック・モリスがテリー・ケネディを右飛に打ち取り試合終了、タイガースが優勝に王手(43秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 5 | 2 |
デトロイト・タイガース | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 4 | 7 | 0 |
- 勝利:ジャック・モリス(2勝)
- 敗戦:エリック・ショー(1敗)
- 本塁打
SD:テリー・ケネディ1号ソロ
DET:アラン・トランメル1号2ラン・2号2ラン - 審判
[球審]リッチ・ガルシア(AL)
[塁審]一塁: ポール・ランギー(NL)、二塁: マイク・ライリー(AL)、三塁: ダグ・ハーヴェイ(NL)
[外審]左翼: ラリー・バーネット(AL)、右翼: ブルース・フローミング(NL) - 昼間試合 試合時間: 2時間20分 観客: 5万2130人
詳細: Baseball-Reference.com
第5戦 10月14日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
7回裏、ランス・パリッシュがリッチ・ゴセージにソロ本塁打を浴びせ、タイガースが5点目を奪う(48秒) |
8回裏、タイガースは先頭打者マーティー・カスティーヨの四球から一死二・三塁とし、カーク・ギブソンの3点本塁打で4点差に突き放す(6分31秒) |
9回表、ウィリー・ヘルナンデスがアラン・ウィギンスを捕邪飛、トニー・グウィンを左飛に打ち取り、タイガースの優勝が決定(49秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 10 | 1 |
デトロイト・タイガース | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 | X | 8 | 11 | 1 |
- 勝利:アウレリオ・ロペス(1勝)
- セーブ:ウィリー・ヘルナンデス(2S)
- 敗戦:アンディ・ホーキンス(1勝1敗)
- 本塁打
SD:カート・ベバックワ2号ソロ
DET:カーク・ギブソン1号2ラン・2号3ラン、ランス・パリッシュ1号ソロ - 審判
[球審]ポール・ランギー(NL)
[塁審]一塁: マイク・ライリー(AL)、二塁: ダグ・ハーヴェイ(NL)、三塁: ラリー・バーネット(AL)
[外審]左翼: ブルース・フローミング(NL)、右翼: リッチ・ガルシア(AL) - 昼間試合 試合時間: 2時間55分 観客: 5万1901人
詳細: Baseball-Reference.com
脚注
注釈
出典
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2019年9月1日閲覧。
- ^ Steve Wulf, "DETROIT JUMPED ALL OVER 'EM," Sports Illustrated Vault, October 22, 1984. 2021年2月23日閲覧。
- ^ Phil Elderkin, "Master strategists Williams, Anderson in World Series dugouts," CSMonitor.com, October 11, 1984. 2019年9月1日閲覧。
- ^ Matt Kelly, "Sparky Anderson becomes first manager to win 100 games in both leagues," Baseball Hall of Fame. 2021年2月23日閲覧。
- ^ 出野哲也 「MEMORABLE HEROES 『殿堂入りしていない英雄列伝』 アラン・トランメル」 『月刊スラッガー』2013年10月号、日本スポーツ企画出版社、2013年、雑誌15509-10、59-61頁。
- ^ John Cronin, "The Historical Evolution of the Designated Hitter Rule," Society for American Baseball Research, 2016. 2019年9月1日閲覧。
外部リンク
- MLB.com Postseason History(英語)
- Baseball Almanac(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1984 World Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第5戦:1984 World Series, Game 5: Padres @ Tigers
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- 2038
- 2039
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カテゴリ |
デトロイト・タイガース 1984年のワールドシリーズ ロースター |
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| | 27 バーバロ・ガーベイ 29 アウレリオ・ロペス 30 ジョニー・グラブ 31 ラリー・ハーンドン 32 ルパート・ジョーンズ 34 チェット・レモン 39 ミルト・ウィルコックス 40 ダグ・ベアー 41 ダレル・エバンス 46 ダン・ペトリー 47 ジャック・モリス | 監督 11 スパーキー・アンダーソン コーチ 26 ゲイツ・ブラウン(打撃) 38 ロジャー・クレイグ(投手) 50 ビリー・コンソーロ(ベンチ) 51 アレックス・グラマス(三塁) 53 ディック・トレズースキー(一塁) |
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デトロイト・タイガース |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ワールドシリーズ優勝(04回) | |
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ワールドシリーズ敗退(07回) | |
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リーグ優勝(11回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - トレド・マッドヘンズ(AAA級)
- エリー・シーウルブズ(AA級)
- ウェストミシガン・ホワイトキャップス(High-A級)
- レイクランド・フライングタイガース(Low-A級)
- フロリダ・コンプレックスリーグ・タイガース(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・タイガース(Rookie級)
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サンディエゴ・パドレス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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パドレス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ敗退(2回) | |
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リーグ優勝(2回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - エルパソ・チワワズ(AAA級)
- サンアントニオ・ミッションズ(AA級)
- フォートウェイン・ティンキャップス(High-A級)
- レイクエルシノア・ストーム(Low-A級)
- アリゾナ・コンプレックスリーグ・パドレス(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・パドレス(Rookie級)
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