クヌーセン数

クヌーセン数: Knudsen numberKn )は流体力学で用いられる無次元量のひとつであり、流れ場が連続体として扱えるか否かを決定する。1より十分小さければ(たとえばKn < 1/5 ならば[1])連続体とみなしてよい。名前はデンマークの物理学者マルティン・クヌーセンに因む。

クヌーセン数は次の式で定義される:

K n = λ L = k B T 2 π σ 2 P L {\displaystyle {\mathit {Kn}}={\frac {\lambda }{L}}={\frac {k_{B}T}{{\sqrt {2}}\pi \sigma ^{2}PL}}}

ここで

である。

分類

流れ場はクヌーセン数によって以下のように分類される[2]

  • Kn ~ 0 :連続領域
  • Kn < 1 :すべり流れ領域
  • Kn ~ 1 :遷移領域
  • Kn > 1 :自由分子領域

さらに以下のように呼ぶこともある。

  • 0.01 < Kn < 1 :近連続領域
  • 1 < Kn < 10 :近自由分子領域

解釈

クヌーセン数が平均自由行程と代表長さの比で定義されるのは以下の理由からである。

平均自由行程が小さく代表長さが大きい場合は分子同士の衝突が頻繁に起こり、また壁面との衝突回数が減るために運動量・エネルギーが平均化されている状態、あるいはこれらの値が空間的に連続である状態であるので、分子全体をつながりのあるもの、すなわち連続体として扱うことができる。

一方、平均自由行程が大きく代表長さが小さい場合には分子同士の衝突が減り、壁面との衝突回数が増えるために運動量・エネルギーは平均化されず(壁面は動かない、すなわち運動量・エネルギーが常に0であるため、衝突による運動量・エネルギー交換が行なわれないから)個々の分子で異なり、つながりが見出せないために連続体としては扱えない。

参考文献

  1. ^ 今井功『流体力学(前編)』裳華房、1997年、9頁。ISBN 4-7853-2314-0。 
  2. ^ 高橋幹二 著、日本エアロゾル学会 編『エアロゾル学の基礎』森北出版、2003年、15頁。ISBN 4-627-67251-9。 
典拠管理データベース: 国立図書館 ウィキデータを編集
  • ドイツ

アーセル数 - 圧力係数 - アトウッド数 - アルキメデス数 - イリバレン数 - ウェーバー数 - ウェーバーの火炎速度数 - ウォーリスパラメータ - ウオマスリー数 - エクマン数 - エッカート数 - エトベス数 - エリクセン数 - オイラー数 - オーネゾルゲ数 - 拡散数 - ガリレイ数 - カルロビッツ数 - 管摩擦係数 - キャビテーション数 - キャピラリ数 - クーラン数 - クーリガン・カーペンター数 - クタテラッゼ数 - クヌーセン数 - グラスホフ数 - グレーツ数 - 形状係数 - ゲルトラー数 - コルバーンのJ因子 - シャーウッド数 - シュミット数 - スタントン数 - スチュアート数 - ストークス数 - ストローハル数 - ゼルドビッチ数 - ダンケラー数 - チャンドラセカール数 - ディーン数 - テイラー数 - デボラ数 - ヌセルト数 - ハーゲン数 - ハルトマン数 - ビオ数 - ビンガム数 - フーリエ数 - ブラウネル・カッツ数 - プラントル数 - ブリンクマン数 - フルード数 - ブレーク数 - ペクレ数 - ベジャン数 - マークシュタイン数 - マッハ数 - マランゴニ数 - モートン数 - ラプラス数 - ランキスト数 - リチャードソン数 - ルイス数 - レイノルズ数 - レイリー数 - ロスビー数 - ロックハート・マルティネリパラメータ - ロッシュコ数 - ワイゼンベルグ数

  • 表示
  • 編集